- 真綿布団は洗えないって本当?
- そもそも真綿はどんな特性があるの?
- クリーニングできるところはないのかな?
蚕から吐き出される糸からでできる繭は、昔から高級品とされています。
その繭を布団の中綿にするまでの工程が、人の手によるものと考えると、真綿布団の値段が高いのもうなずけますね。
真綿布団は一般的に洗えないとされていますが、お手入れはとても簡単です。もし汚れてしまったときは、「真綿布団を丸洗いできるクリーニング業者」に依頼するのがベストです。
- 真綿が持つ特性とは?
- 真綿が洗えないと言われている理由
- 真綿布団をクリーニング対応できる業者3選
この記事を読むことで、真綿の持つ性質、真綿布団のお手入れ方法、真綿布団のクリーニングに対応している業者がわかります。では、早速お伝えしていきます。
Contents
真綿布団を使うメリットとは?
上の動画を見ると、真綿布団ができるまで、どれだけ人の手がかかって大変な工程なのかがわかりますね。
蚕が作る繭には、約70%が「フィブロイン」、残りは数種類の「セリシン」いう繊維状のたんぱく質が含まれています。それそれ人間の素肌に近い成分があるのが特徴です。
フィブロインの特性
- グリシン・アラニン・セリン(シルクアミノ酸)の集合体
- 保温性・吸湿性のほか細胞再生の働きがあり、人間の肌を育てる効果が期待できる
セリシンの特性
- フィブロインを守るように構成されている
- ケラチン、アミノ酸に似た構造で、高いバリア効果がある
グリシンやケラチン、アミノ酸という名前はよく聞くと思います。グリシンは角質層を作る成分、ケラチンは髪のたんぱく質成分として有名ですね。
これらの成分が含まれている繭を煮沸し、湯せんで繭を開いて1枚の小さな布状にして乾燥させ、1枚1枚引き伸ばして重ねていくことで、布団の中綿ができます。
真綿で作られた中綿は、吸湿性・発散性・保湿性に優れており、人間の肌に近い成分があるため、アレルギーに悩む人や肌の弱い人におすすめされています。
真綿布団のメリット
- 吸湿性、発散性が高いため蒸れにくい
- 保湿性に優れているため、静電気が起きにくい
- 保温性があり、肌にやさしく清潔
では、真綿布団のそれぞれのメリットを解説します。
吸湿性、発散性が高いため蒸れにくい
布団の大敵はなんといっても「湿気」ですね。敷きっぱなしにしてお手入れをしないで放置すると、気がついたら「カビが生えてしまった!」ということになりかねません。
たとえばポリエステルなどの化学繊維は、防カビや防ダニの加工がしやすい反面、吸湿性が低いので蒸れやすい性質があります。
一方、真綿はその糸が持つ特性から「吸湿性」が高く、木綿と比べて約1.5倍あります。「吸湿性が高いと中綿に湿気がこもるのでは?」と思ったあなた、いい点をついていますね!
実は真綿は、「発散性」という湿気を発散する能力もあるのです!寝ている間に吸収した汗や湿気を発散してくれるので、布団に湿気がこもりません。まるで素材が呼吸をしているかのようですね。
保湿性に優れているため静電気が起きにくい
真綿はとても強い繊維でできています。
吸湿性・発散性の働きで布団の中の湿気を逃がすだけでなく、適度な湿度を保持する「保湿性」もあります。そのため、静電気が起こりにくく、雑菌やホコリもほとんど寄せつけません。
ハウスダストに悩んでいる人には、嬉しいアイテムではないでしょうか。
保温性があり、肌にやさしく清潔
中綿は、薄い布を何層にも重ね合わせて作られているので、空気層があります。この空気層により、ボリュームがなくても軽くて温かい「保温性」にも優れています。
また、素材に含まれる成分が、人間の素肌に近いたんぱく質のため、美肌効果も期待できます。真綿布団を使うことできれいなお肌になるのは嬉しいですよね。
吸湿性もあり、発散性もあり、保湿性や保温性もあるとなると、布団の中は温かいけど湿気もなくさらっとして清潔です。
湿気のないさらっとした布団で眠ることを想像しただけでも、幸せな夢を見れそうですね。
真綿布団のデメリットとは?
ここまで、真綿布団の持つ嬉しいメリットを紹介しました。しかし、当然デメリットもあります。
真綿布団のデメリット
- 値段が高い
- 打ち直しができない
- 水に弱い
では、真綿布団のそれぞれのデメリットを解説します。
値段が高い
まず、真綿布団の1つ目のデメリットは「値段が高い」ことにあります。実際には、100万円の高級品から1万円で手軽に買えるものまでピンキリになります。なぜ、こんなに値段の差が出るのでしょうか。
真綿布団の値段に差がある理由
- 真綿の生産地(国産 / 外国産)
- 真綿の引き方(手引き / 機械引き)
- 側生地の素材(シルク/綿/ポリエステル/レーヨン)
高級な真綿布団で有名なのは、近江真綿や入金真綿ですね。どちらも生産数が少なく、中綿は熟練の職人が2人かがりで真綿を手引きして作られており、側生地もシルクを使っているため高額です。
ちなみに、一日でできる生産量は2枚分になりますので、値段が高いというのも納得ではないでしょうか。
比較的買いやすい値段の真綿布団は、真綿は中国産のもので側生地は綿素材が多くなります。さらにもっと手に届く1万円前後の真綿布団になると、側生地の素材が綿、ポリエステル、レーヨンになります。
外国産のものは機械引きが多く、真綿の分量が厚い部分や薄い部分が出てきたりしますので、デリケートな真綿を手引きのように均一に引きのばすことができません。
真綿を手引きして作成されたものもありますが、国産と比較すると質が落ちます。
真綿布団を購入するとき
側生地がポリエステル100%の素材は安価ですが、吸湿性が低く蒸れやすい性質があるため、真綿の中綿の機能が生かされません。側生地がシルク以外の真綿布団を購入するときは、なるべく綿素材のものがよいでしょう。
打ち直しができない
真綿布団は「打ち直しができない」ことが2つ目のデメリットとなります。一般的な布団(羽毛布団含む)は打ち直しができますが、なぜ真綿布団はできないのでしょうか?
布団の打ち直しとは、「中綿をほぐしてふんわりさせる」手法になります。そもそも真綿布団は、薄い真綿を引き伸ばして何重にも重ねて作られているため、この手法はできません。
「引き直し」という、薄くなったところに新しい真綿を足す手法がありますが、値段もかなり高くなります。
また、真綿布団は寿命があり、5年くらいで中綿がちぎれたり、膨らみがなくなって本来の機能が果たせなくなることが多くなります。素晴らしいメリットがあるだけに、寿命が短いのは残念なところですね。
水に弱い
3つ目のデメリットは「水に弱い」ことです。
真綿ふとんのクリーニングについて 真綿ふとんは原則的にクリーニングはできません。 やむを得ずクリーニングをなさる場合には、信頼のおけるお店にご相談ください。
引用:日本ふとん製造協同組合
真綿布団を水洗いして乾燥させると、繊維が固まってしまい、布団としての機能を失ってしまうリスクが高くなります。そのため、「丸洗い」を引き受けるクリーニング業者は少ないといっていいでしょう。
クリーニングには「ドライクリーニング」と「丸洗い」の2つの方法がありますが、違いは以下のとおりです。
ドライクリーニングと丸洗いの違い
ドライクリーニング | 石油系溶剤で洗うため、水に弱い素材を洗うのに適している |
---|---|
丸洗い | 水溶性の汚れを落とすのに適している |
このことから、真綿布団を洗うのはドライクリーニングが適しているのでは?と思いますよね。布団に蓄積する汚れは水溶性のため、残念ながら、ドライクリーニングでは中身まできれいにはなりません。そうすると、布団をきれいにするには、やはり丸洗いがおすすめです。
そこで、真綿布団の丸洗いに対応している、数すくないクリーニング業者を紹介します。
真綿布団を扱える宅配クリーニング業者3選
真綿布団の丸洗いに対応しているクリーニング業者は以下の3つとなります。
- しももとクリーニング
- 布団クリーニングのデア
- ふとんの玉手箱(楽天市場店)
しももとクリーニング
布団丸洗い14万枚以上の実績がある布団丸洗い専門店で、高知県に工場があります。四万十川の源流水を使用して天然石けんで丸洗いをしています。
- 植物性100%の無添加石けん使用
- 完全個別洗い
- 個別カルテで布団クリーニングを管理
- すすぎ追加洗いあり(オプション)
- 布団サイズに関係なく1枚:9,680円(税込・送料無料)
- 真綿布団は工場に届いてからおよそ4営業日以内の発送

布団クリーニングのデア
デアはクリーニングを取り扱うアイテムが豊富で、他店で対応できないアイテムも対応してくれます。布団丸洗いには、マイナスイオン水や天然石けんを使用するこだわりがあります。
- 動植物油脂100%の天然石けん使用
- 完全個別洗い
- マイナスイオン水を使用
- 消臭効果のあるEM菌溶剤を使用(オプション)
- 布団保管サービスあり
- シングルサイズ1枚:4,070円 +1,100円(真綿素材)(税込・送料別)

ふとんの玉手箱(楽天市場店)
楽天市場から申し込みができます。ただし、ホームページには「側生地:綿100%」と記載されており、側生地がシルク100%の取扱いがない可能性がありますので、利用される場合は注意しましょう。
- 完全個別洗い
- 3〜4日自然乾燥後、乾燥機にかけてふっくら仕上げ
- 全額返金保証あり
- 利用する際は楽天会員の登録が必要
- シングル1枚:7,480円(送料無料)
真綿布団のお手入れ方法
意外に思うかもしれませんが、真綿布団のお手入れ方法はとても簡単です。陰干しをすることと、カバーをこまめに洗濯することがポイントになります。
陰干しする
冒頭でも紹介したように、真綿布団のメリットとして
- 吸湿性、発散性が高いため蒸れにくい
- 保湿性に優れているため、静電気が起きにくい
- 保温性があり、肌にやさしく清潔
があります。そのため、真綿布団は汚れがつきにくく、お手入れとしては「陰干しするだけ」といってもいいでしょう。もともと発散性があるので湿気も少ないですが、風通しのよいところにカバーをつけて陰干しすることで、湿気を十分に取り除くことができます。
布団を取りこむ時は、強くたたくと中綿の繊維がちぎれてしまう原因になりますので、軽くホコリを払う程度にしましょう。
こまめにカバーを洗う
真綿布団は陰干しするだけでよい、と書きましたが、カバーは当然汚れますね。カバーはこまめに洗濯して清潔に保ちましょう。
ただし、シルクのカバーの場合は家庭で洗えないものがほとんどのため、クリーニングに出したほうが安心です。クリーニングの際には、必ず洗濯表示を確認することを忘れないでください。
まとめ
真綿布団の特性
- 吸湿性、発散性が高い →蒸れにくい
- 保湿性に優れている →静電気が起きにくい
- 保温性がある →肌にやさしく清潔
- デメリット →高額、打ち直しができない、寿命が5年、水に弱い
真綿布団を丸洗いできる宅配クリーニング業者
- しももとクリーニング
- 布団クリーニングのデア
- ふとんの玉手箱(楽天市場店)※側生地が綿100%以外は要確認
真綿布団のお手入れ方法
- 風通しのよい日陰に干す
- カバーを清潔に保つ
真綿布団は高級なものですが、ちょっとしたお手入れで清潔に保つことができます。汚れがひどく気になるときは、安心して任せることができるクリーニング業者に依頼しましょう。